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□泡雪が舞う桜の木の下で
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桜が咲く頃になると胸の奥がキュンとなる

それは初恋だった

初恋は実らないって言うけど

私の初恋も実らなかった


失恋したのか?


いや、そうとも違う


私が一方的に失恋という結末に終わらせたのかもしれない


未練がましいけど今でも後悔している




【泡雪が舞う桜の下で】





『土方君、四時に体育館裏で待ってるね。』私は膨らむ想いを抑え土方君にそう伝えると恥ずかしさの余り逃げるようにその場から立ち去った




フラれるにしても彼の性格ならこの約束を守ってくれるだろう
そう思った


…多分私は、フラレる。でも、優しい彼なら私を傷つけまいと一生懸命言葉を選んで云ってくれる筈だ



私は色々これから始まる告白シーンを色々と想像していた








約束の4時

体育館裏で待つ私。本当は震えるほど緊張していた


3月だと云うのに雪がちらついている



吐く息が白くなった







色々想定していた事とは裏腹に時計は5時になっていた



マフラーをしっかり巻き直しポケットの中のカイロを握りしめた






一時間と云う時間はあまりにも私の中では長くとても凍えるように寒かった








結局

彼は

来なかった







そして私の初恋は銀魂高校と共に終わりを告げた




泡雪が哀しく降りしきり、桜が雪で濡れていた







3月や4月の雪がちらつく日にはこの思い出がぼんやり思い出される


今では私も大人になって、あれから五年が経った





私もそれなりに恋愛したりあの頃よりは大人にもなった






土方君、あなたは元気でいますか?

私は最近少し元気がないです。なんとなく付き合っていた彼とも別れ、仕事もうまくいかず辞めてしまいました



良く云えばこれからすべてがスタートです


でもやっぱり私はうじうじしていて、昔の事ばかり考えてしまいます







楽しい銀魂高校の事が忘れられなくて、そして未だに想う土方君を忘れられなくて、フラりと銀魂高校にきていた




今日はあの時と同じ雪がちらついてとても切なくなった






体育館裏4時で…―



時間を見たら4時だった




私は昔の事が懐かしくて雪の中に咲いていた桜を眺めた


あの時とおんなじだ…ーー




私は緊張と期待で震えていたんだっけ
そして、こうやってカイロを握りしめたんだ


そうだ…ーーー


懐かしい…ーーー






すると、聞き覚えのある声が後ろから聞こえた





忘れる訳ないじゃない
こんなに低くていい声を






私は振り向いた


そうしたら、少し大人になった土方君がいた



『ひ、土方君…?』


「よう。待たせたな……」

桜の木に寄りかかる土方君






随分長く待たせたじゃないの


五年は待たせ過ぎじゃない?




「悪い……。時計止まってた。待たせて悪かった。」






私はこの日を五年も待っていたんだ







……確か私は告白しようとしていたんだ







『あ、あの…「付き合ってほしい。」


土方君の声で私の言葉が消えた







私は言葉より先に涙が出ていた






止まっていた時間が今動き出した




全てがこれからスタートだ

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